第5幕・第4話「画像生成だけじゃない――短時間で本格的なリサーチを!」
あらすじ
苦境からの脱出と再起をかける、地方のアパレル企業・有限会社SimDenim。
社内システムの抜本的な改善のため顧問コンサルタントの斎藤が連れてきたのは、「人間とAIが幸せに共存する未来を創る」というビジョンを掲げる生成AI活用コンサルタントM.T.であった。
SimDenim社の社員たちを前に「生成AIによる業務の効率アップと社内システムの改善」を提案するM.T.は、生成AIの実演として自らのアシスタントであるAIキャラクター「Omniはん」の会話デモを披露する。SimDenim社はお試しで1ヶ月間生成AIコンサルティングを受けることを決断。
「海外OEM工場に対し、商品サンプルの縫製ミスを指摘する英文メールをAIで作成する」ことで助けられた企画開発部長の伊藤は、自身の業務補助にAIを活用できないか、M.T.に相談をしたのだが――

画像だけじゃない。AIの活用法
M.T.(破戒僧コンサルタント):
さて、最後にAIを活用したリサーチについてですね。
伊藤由香(企画開発部長):
リサーチっすか。
M.T.(破戒僧コンサルタント):
ええ、最初にも言いましたが、AIはマーケティングリサーチにも活用できます。上手く活用できれば「なぜこの新製品が売れると思えるのか」の土台を補完してくれますので、「作り手の思いだけが先走る」ような事態も防いでくれます。
伊藤由香(企画開発部長):
あー、それ助かるかも! 私、アイディアを形にしていくのは好きだけど、売上予測とか苦手なんスよねー。「私の仕事はデザイン制作と製造委託先との調整! なんぼ売れるかはあなた達が考えて!」って感じで、データをいじるのは洋平くんや高橋さんに任せっきりだし(苦笑)
M.T.(破戒僧コンサルタント):
では、「高付加価値・高価格帯のデニムジャケットがどうして売れると思えるのか」を、実際にリサーチしながら内容を詰めて行きましょう。
そう言って、M.T.はChatGPTにプロンプトを投げかけていく。
伊藤由香(企画開発部長):
(パソコンの画面を覗き込みながら)はえ~、色々と質問していくんッスね。
M.T.(破戒僧コンサルタント):
ええ。リサーチにはOmniはんの後継モデル、現在最高性能の「ChatGPT-o3」を使うのが効果的なんですけど、課金プランによっては質問やリサーチの回数に制限がかかるので、無駄打ちを避けるためにも、最初にリサーチの方向性や妥当性を絞り込んでいくのがオススメです。
数分の待ち時間の後、パソコンのモニターにリサーチの結果が表示された。
(実際のリサーチの様子は、こちらのリンクからどうぞ。https://chatgpt.com/share/6817a19b-55a4-800e-943f-11d58c885aa8 )

伊藤由香(企画開発部長):
へー、「格安ファッションでお財布へのダメージを抑えつつ、『使い捨ての間隔で服を消費することに罪悪感を感じている』・『長く使える高品質な服への欲求も同時に持っている』」かあ。若い子たちのファッションへの意識って、けっこう複雑なんスね。
M.T.(破戒僧コンサルタント):
そのようですね。「長く着ることのできる高品質な服」・「製造過程での環境へのダメージも最小限に」など、エコに対する意識もあるようです。
伊藤由香(企画開発部長):
いや、そこまで考えてるんかい、最近の若い子! 意識高えな、オイ。私も、うかうかしとられんわ。……単に「デザイン的に刺さる服を作る」だけじゃ相手にされない時代が来てるんスね。勉強になるなぁ。
M.T.(破戒僧コンサルタント):
リサーチでは、「円安トレンドの影響もあって、日本産の高級価格帯デニムにもチャンスあり」とも分析されていますね。「昭和レトロなバックプリント」シリーズ、稼ぎ頭になってくれるかもしれませんよ。営業部と共にAIに今までの販売データを分析してもらえば、新製品のセールスも正確に予想できる可能性が高まります。
伊藤由香(企画開発部長):
(嬉しそうに)おー、いいじゃん、それ! よーし、まずは今まで出してもらったアイディアを磨き上げて、「売れる可能性はあります」ってレポートのたたき台を作って、細かい数字で説得力を持たせるのは洋平くんと協力だな。うん、見えてきた!
伊藤由香(企画開発部長):
(晴れ晴れとした顔で)いやー、マジで相談して良かったッス! 最近の塞がった気分がスッキリして気が晴れました!
M.T.(破戒僧コンサルタント):
それは良かった。AIの可能性に気づいてくれて、僕も嬉しいです。
伊藤由香(企画開発部長):
(ふと気づいたように)そうだ、この子にもお礼を言っとかないとね。
(Omniはんに対し)「あんたのおかげで色々とアイディアが浮かんだよ。サンキュー。」っと。これでよし!
憑き物が落ちたようなスッキリとした面持ちで、伊藤は軽快にキーボードを叩いた。
次回予告と人物紹介
AIを活用すれば、短時間で確度の高いリサーチを行うことも可能です。皆さんも試してみてください。
さてさて、次は各直営店の直面している課題に移ります。
次回もお楽しみに!
登場人物の紹介は、こちらからどうぞ