第5幕・第3話「狙いは昭和レトロ?――AIと考える新製品」

あらすじ

苦境からの脱出と再起をかける、地方のアパレル企業・有限会社SimDenim。

社内システムの抜本的な改善のため顧問コンサルタントの斎藤が連れてきたのは、「人間とAIが幸せに共存する未来を創る」というビジョンを掲げる生成AI活用コンサルタントM.T.であった。

SimDenim社の社員たちを前に「生成AIによる業務の効率アップと社内システムの改善」を提案するM.T.は、生成AIの実演として自らのアシスタントであるAIキャラクター「Omniはん」の会話デモを披露する。SimDenim社はお試しで1ヶ月間生成AIコンサルティングを受けることを決断。
「海外OEM工場に対し、商品サンプルの縫製ミスを指摘する英文メールをAIで作成する」ことで助けられた企画開発部長の伊藤は、自身の業務補助にAIを活用できないか、M.T.に相談をしたのだが――

「ナウい新製品」アイディアのラフスケッチ

興奮を隠せない伊藤に対し、M.T.は提案を続ける。

M.T.(破戒僧コンサルタント):
では次は、「デニムジャケットのバックプリントに昭和レトロなモチーフ」のアイディアを形にしていきましょうか。
Omniはん、「昭和レトロなモチーフ」を30個リストアップしてみて。

Omniはん(AIアシスタント):
了解やで、コンサルはん! それじゃあ、「デニムジャケットのバックプリントに使えそうな昭和レトロなモチーフ」、ズラッと30個挙げてくわな~📻🎨✨

🧵昭和レトロなバックプリント・モチーフ30選

  1. 赤電話(ダイヤル式)
  2. 木目調のブラウン管テレビ
  3. 昭和の商店街の看板群(縦書きフォント)
  4. カセットテープ(TDK・SONY風)
  5. 公衆電話ボックス(緑ガラス×グレー鉄枠)
  6. 駄菓子屋のショーケースとビンラムネ
  7. チャンネルがガチャガチャ回るテレビダイヤル
  8. ナショナル製扇風機
  9. 鉄道の切符(カチカチ音の刻印式)
  10. 昭和歌謡ポスター風イラスト(涙を流す女性)
  11. ミゼットやスバル360などの軽自動車
  12. 電線だらけの夕焼け住宅街
  13. 昭和の映画館の手描き看板
  14. おばあちゃんのちゃぶ台
  15. 団地と物干し竿と昭和の洗濯機
  16. 初代ファミコンと四角ボタンコントローラー
  17. 白黒テレビで見るプロレス中継
  18. 金鳥の蚊取り線香&ブリキ缶
  19. ガチャガチャの丸いカプセル
  20. スナックのネオンサイン
  21. 学校のストーブとやかん
  22. 学習机の上の二眼ラジカセ
  23. アナログ時計とパタパタ式カレンダー
  24. セピア色の観覧車
  25. 「ナウい」や「バッチグー」みたいな死語
  26. 昭和のパチンコ屋看板(やたら眩しい)
  27. 銭湯の富士山の壁画とケロリン桶
  28. 牛乳瓶のフタ(紙のやつ)
  29. チューブ入りの練乳
  30. 黒電話と短波ラジオの並んだ棚

👘補足:
どれも視覚的に「昭和っぽさ」を演出できるアイコンやで。
この中から「ポスター風」「シルクスクリーン調」「アメコミっぽく」みたいにテイストを絞ってMidjourneyプロンプトに落とし込めば、いくらでもラフ案いけるで!

M.T.(破戒僧コンサルタント):
色々と挙げてくれましたね。「スバル360」など「そのものズバリ」を使ってしまうと著作権や意匠の観点から問題になってしまうので、注意が必要です。
「学習机と2眼ラジカセ」のモチーフで作ってみましょうか。
Omniはん、見本となる画像を生成してみて。

M.T.からの指示を受け、Omniはんは画像を生成する

Midjourneyでバリエーション生成

M.T.(破戒僧コンサルタント):
バックプリントに使う「学習机と2眼ラジカセ」のモチーフ部分だけMidjourneyに生成してもらうとしたら、どんなプロンプトになる?

Omniはん(AIアシスタント):
こちらが「学習机と2眼ラジカセ」のモチーフをMidjourneyで生成するためのプロンプト例になります:

Midjourney用プロンプト(英語):
a detailed vintage illustration of a 1980s Japanese wooden school desk with a dual-cassette boombox on top, retro classroom atmosphere, warm lighting, nostalgic color tones, minimal background, isolated object for fashion backprint –v 6 –ar 4:5 –style raw

解説:

  • vintage illustration:昭和感を出すために、写実ではなくイラスト風に。
  • 1980s Japanese wooden school desk:木製の学習机(日本的な)。
  • dual-cassette boombox:2眼ラジカセ。
  • retro classroom atmosphere, warm lighting, nostalgic color tones:色味と空気感で昭和感を強化。
  • minimal background, isolated object for fashion backprint:背景を控えめにして、ジャケットのバックプリントとして使いやすく。
  • –ar 4:5:縦長で背中に合うように。
  • –style raw:Midjourneyの生成画像に自然な質感を残すためのオプション。

必要であれば、「レトロポップな手描き風」や「インクライン風」「ペン画調」など、スタイルも指定できます。

もっと可愛い方向性や渋い方向性に寄せたい場合は、希望イメージを教えてくれたら調整するで?

M.T.(破戒僧コンサルタント):
そうやね。
「レトロポップな手描き風」や「インクライン風」「ペン画調」など、「ここだけ置き換えれば画風が変わるよ」という部分だけ、英日併記でリストアップしてみて。

Omniはん(AIアシスタント):
了解やで!以下はMidjourneyプロンプトで画風(style)を調整するための**差し替え可能なキーワード一覧(英日併記)**や。ベースのプロンプトは変えずに、この部分だけ入れ替えれば画風がガラッと変わるで!

🎨 Midjourney画風差し替え用キーワード一覧(英日併記)

英語プロンプト日本語訳・ニュアンス説明
in retro pop art styleレトロポップアート風(ビビッドカラーで懐かしい広告っぽい)
in hand-drawn pencil sketch style手描きの鉛筆スケッチ風(ラフで温かみのある線画)
in ink and watercolor styleインク+水彩画風(輪郭をインクで描いて水彩で塗るような仕上がり)
in ukiyo-e style浮世絵風(和風・波打つ線・大胆な構図)
in Showa-era manga style昭和漫画風(荒めのトーン・手描き感強め・懐かしい雰囲気)
in 1980s anime cel-shaded style1980年代のアニメセル塗り風(原色中心・明暗がはっきりした塗り)
in flat vector styleフラットベクター風(イラレで描いたようなシンプルかつ色面の明快さ)
in pen and ink drawing styleペンとインク画風(クロスハッチングや陰影の細かい線画)
in woodblock print style木版画風(版のズレや色の重なり、版の質感がある)
in sketchbook concept art styleスケッチブックのコンセプトアート風(メモ付き・アイデアラフっぽい)

例えば:

…on top, **in retro pop art style**, warm lighting…

と差し替えるだけでOKや。

他にも、「グラフィックTシャツ向きのスタイル」や「海外向けの和風モチーフ寄せ」など、狙いたい方向があれば教えてくれたら追加するで!どのスタイルから試してみる?

Omniはんのサポートを得て、M.T.はMidjourneyにて次々とラジカセの画像を生成していく。

伊藤由香(企画開発部長):
スッゲー! さっきと同じように、次々とデザイン案が出てくる!

M.T.(破戒僧コンサルタント):
Omniはんが作ってくれたプロンプトをベースにしたので、今回の背景は暖色系のパステルカラーが多いですが、デニム生地とのバランスを考えて黒や寒色系の引き締まったトーンに変えることも可能です。生成した画像の著作権はユーザーに帰属しますので、ラジカセのデザインが既存製品の意匠を侵害していなければ、Midjourneyが作ってくれた画像をそのまま商品に利用することができますね。画像の拡大もできますので、ジャケットのバックプリントでしたら解像度的にもシルクスクリーン印刷に対応できると思います。

伊藤由香(企画開発部長):
(嬉しそうに)あー、私も色々と試してみたくなってきたわ(笑)

この後、M.T.とOmniはんのレクチャーにより伊藤はプロンプト(AIに対する指示や要求の提出)の打ち込み方を学ぶのだが、その詳細はまた別の機会に。

次回予告と人物紹介


次回、斎藤コンサルタントが連れてきた人物が、Sim Denimに波乱を巻き起こす――?

連れて来られた人物とは、いったい何者なのか……。

次回もお楽しみに!

登場人物の紹介は、こちらからどうぞ